なぜ「ガチャ」はやめられない?心理学でひもとくランダムクーポンの集客効果

「100円引き」と「50円か100円か200円のどれかが当たる」。割引額の平均が同じでも、後者のほうがお客様の反応は変わります。

これは感覚の話ではなく、行動心理学で古くから確認されている現象です。この記事では、なぜ結果が分からないほうが人を動かすのかを説明したうえで、店舗で使うときの条件と、やりすぎてはいけない線引きまで解説します。

同じ割引額でも、反応が変わる

まず前提として、金額そのものが同じなら、お客様が得る経済的な価値は変わりません。

それでも反応が変わるのは、人が「結果が分かっていること」に慣れてしまうからです。毎回100円引きだと、3回目には「いつもの100円引き」になります。値引きが日常の一部になった時点で、それは特別な出来事ではなくなります。

一方、読み取るまで金額が分からない仕組みだと、会計のたびに小さな結果発表が発生します。金額が同じでも、体験としては別のものになります。

予測できない報酬のほうが行動が続く理由

変動比率スケジュール

心理学者のB.F.スキナーは、報酬の与え方によって行動の持続の仕方がどう変わるかを実験で調べました。

報酬を与えるパターンには、決まった回数ごとに与える方法や、決まった時間ごとに与える方法などがあります。その中で最も行動が持続しやすかったのが「変動比率スケジュール」、つまり何回目に報酬が出るか分からない与え方でした。

さらに特徴的なのは、報酬が止まったあとも行動が続きやすいという点です。次に出るかもしれないという可能性が残っている限り、人は行動をやめにくくなります。

なぜ「毎回同じ」だと飽きるのか

決まった報酬は、予測できてしまいます。予測できるものは、確認する必要がありません。

毎回100円引きなら、お客様は会計のときに画面を見る必要すらありません。金額を確認するという行為そのものが失われます。体験が発生しないものは、記憶にも残りません。

人は報酬そのものより「予想とのズレ」に反応する

もう1つ知られているのが、脳が反応するのは報酬の大きさそのものではなく、予想していた結果と実際の結果の差だという点です。

予想どおりの報酬には反応が小さく、予想を上回ったときに強く反応します。逆に言えば、予想できる報酬は、それがいくら大きくても反応を生みにくいということです。

店舗に置き換えると、こうなります。

やり方お客様の予想起きること
毎回100円引き100円引きだと分かっている予想どおり。反応は生まれない
50〜200円がランダムいくらか分からない結果を見る動機が生まれる
たまに大きい額が出るたいてい少額だが、可能性がある予想を上回ったとき、記憶に残る

重要なのは、平均額を上げる必要がないことです。同じ予算配分のまま、幅を持たせるだけで体験が変わります。

ランダムにするだけでは効きません。条件を外すと逆効果になります。

複数の割引額と発生確率を設定できる仕組みなら、この記事の条件をそのまま設定に落とせます。
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店舗で機能させるための4つの条件

ランダムにすれば必ず効くわけではありません。次の条件を外すと、単に分かりにくいだけの仕組みになります。

① その場で結果が分かる

会計の場で結果が出ることが前提です。後日メールで当選を知らせるような形にすると、体験としての面白さは失われます。結果を確認する瞬間が、来店体験の締めくくりになることに意味があります。

② ハズレを作らない

「何も出ない」を含めてしまうと、会計の最後に落胆が来ます。最低額を小さくしてでも、全員が何かを受け取れる設計にしてください。

金額の大小は問題になりません。ゼロが混ざることだけが問題です。

③ 金額に幅をつける

50円と60円では、幅があるとは言えません。最低額と最高額に3倍以上の差があると、結果に意味が生まれます。

たとえば「50円・100円・300円」のような組み合わせです。300円が出る確率は低くてかまいません。可能性があること自体が効きます。

④ 説明が1行で済む

仕組みが複雑だと、スタッフが説明できません。「QRコードを読み取ると、その場で割引額が出ます」で伝わる範囲に収めてください。

やりすぎてはいけない線引き

この仕組みは人の反応を利用するものなので、設計を誤るとお客様を煽る方向に働きます。次の3点は必ず守ってください。

① 射幸心を煽る設計にしない

高額な当たりを前面に出したり、購入金額を上げるほど当選確率が上がるような設計にすると、性質が変わります。

目的は「また来たい」と思ってもらうことであって、その日の支払いを増やさせることではありません。次の来店につながらない盛り上げ方は、長期的には店の評判を損ないます。

② 確率を偽らない

登録した確率と実際の出方が違う状態は、景品表示法の有利誤認表示にあたるおそれがあります。「大当たりあり」と表示しながら実質的に出ない設定にするのは論外です。

確率を公開する義務はありませんが、公開した内容と実際の設定は必ず一致させてください。

③ 「値引き」と「おまけ」は扱いが違う

自店の商品やサービスの代金をその場で安くする値引きは、原則として景品表示法の「景品類」にあたりません。金額の上限規制もかからない扱いです。

一方、ドリンク無料券や粗品のように別の物を付ける「おまけ」は景品類にあたり、取引価額に応じた金額の上限があります。同じサービスのつもりでも、この2つは扱いが違うという点だけは押さえておいてください。

筆者は法律の専門家ではありません。判断に迷う場合は消費者庁の景品Q&Aを確認したうえで、必要に応じて専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 割引額の平均を下げても効果はありますか

平均額を上げる必要はありません。この記事で説明したのは、同じ予算のまま金額に幅を持たせることで体験が変わるという話です。むしろ平均額を上げると粗利を圧迫します。

Q. どのくらいの頻度で使ってもらうのが適切ですか

毎回の会計で結果が出る形でかまいません。頻度より重要なのは、結果に幅があることと、その場で分かることです。

Q. お客様に確率を伝えるべきですか

伝えても伝えなくても問題ありませんが、伝えるなら実際の設定と一致させてください。伝えないほうが結果の意外性は保たれます。

Q. 飽きられませんか

毎回同じ額を出す方式より飽きにくいのが、この仕組みの特徴です。ただし長期的には、割引そのものではなく料理や接客が来店の理由になっている必要があります。

まとめ

同じ割引額でも、結果が分からないほうがお客様の反応は変わります。予測できる報酬には人は慣れますが、予測できない報酬には毎回反応が生まれるためです。

店舗で使うなら、その場で結果が分かること、ハズレを作らないこと、金額に幅をつけること、説明が1行で済むこと。この4つを満たしてください。

そして、この仕組みは人の反応を利用するものです。射幸心を煽る方向に設計すれば短期的な効果は出るかもしれませんが、店に残るのは価格でしか判断しないお客様です。目的はあくまで「また来たい」と思ってもらうことだという前提を外さないでください。

EASY COUPONは、複数の割引額と発生確率を店舗側で設定できます。この記事の条件をそのまま設定に反映できるので、金額の幅や最低額の設計を試しながら調整できます。

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