飲食店のリピーター率の平均は?理想の数値と計算方法

「うちのリピート率って、平均と比べて低いのだろうか」。そう思って検索すると、「30%が目安」「40%が平均」と、サイトごとに違う数字が出てきます。

数字が食い違うのは、どのサイトも根拠を持っていないからです。この記事では、公的な統計に何があって何がないのかをはっきりさせたうえで、自分の店で意味のある数字を出す方法を説明します。

「飲食店のリピート率の平均」という統計は存在しない

先に結論を書きます。飲食店のリピート率について、業界の平均値を示した公的な統計はありません。

外食産業でもっとも広く使われている統計は、日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」です。234社・37,272店(2026年7月度)を集計した規模の大きい調査ですが、公表されている指標は売上高・店舗数・客数・客単価の4つで、しかもすべて前年同月比です。リピート率という項目自体がありません。

理由は単純で、リピート率を出すには「同じ人が何回来たか」を店側が把握している必要があるからです。会員証もアプリもない店では、そもそも測れません。業界全体で集計できる数字ではないのです。

つまり、ネット上で見かける「飲食店の平均リピート率は◯%」という数字は、出典をたどると個別企業の自社データか、根拠のない引用にたどり着きます。比較対象として使うには危険な数字です。

分かっているのは「お客様側」の数字

店舗側ではなく消費者側であれば、調査があります。リクルートライフスタイルが首都圏の2,106名に聞いた調査では、

  • 週あたりの外食回数:2.97回
  • 利用した店舗数:2.65店
  • うち初めて行った店:0.67店

つまり外食の77.5%は、1度行ったことのある店の再訪ということになります。年代が上がるほどこの比率は高く、60代男性では87.3%が再訪でした。

これは「あなたの店のリピート率」ではありませんが、お客様の側は、そもそも知らない店をあまり開拓していないという前提を教えてくれます。新規を追い続ける設計が苦しくなるのは、この構造が理由です。

出典:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」2026年7月度ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&要因調査」(2018年2月・首都圏・n=2,106)

リピート率は3通りに計算できる

数字が食い違うもう1つの理由が、「リピート率」という言葉が3つの別々の指標を指していることです。まずどれを使うかを決めないと、去年の自分の数字とすら比較できません。

計算式何が分かるか向いている店
① 期間リピート率2回以上来た人 ÷ 期間内の実人数客層全体の厚み会員データがある店
② 新規客の再来店率再来店した新規客 ÷ その月の新規客入口の詰まり具合個人店に一番向く
③ 平均来店回数延べ客数 ÷ 実人数常連の濃さ常連中心の店

① 期間リピート率

決めた期間のなかで、2回以上来店した人が何割いたかを見る計算です。3ヶ月で100人が来店し、そのうち30人が2回以上来ていれば30%になります。

もっとも一般的な定義ですが、期間の取り方で数字がいくらでも動きます。1ヶ月で区切れば低く出て、1年で区切れば高く出ます。他店と比べても意味がないのはこのためです。

② 新規客の再来店率

今月初めて来たお客様のうち、その後◯日以内にもう1度来た人の割合です。3つのなかで個人店がもっとも使いやすい指標です。

理由は2つあります。分母が「今月の新規」だけなので数が少なく手作業でも追えること。そして、数字が下がったときに打つ手がはっきりしていることです。

③ 平均来店回数

延べ客数を実人数で割った値です。1.5回なら、平均するとお客様は1年に1.5回来ている計算になります。

常連中心の店では、リピート率が高止まりして変化が見えなくなります。そういう店は「何割が再来店したか」より「何回来たか」を見たほうが動きを捉えられます。

測るのに、POSレジもシステム改修も要りません。

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個人店が追うべきなのは②

会員システムを持たない個人店なら、②の新規客の再来店率を選んでください。

①と③は、全来店客の顔と回数を記録できることが前提です。レジ横にノートを置いて全員を数えるのは現実的ではありません。

一方②は、今月の新規だけを覚えておけばいいので、1日1〜2組なら記憶と手書きのメモで足ります。「先週来てくれた3人組が今日また来た」という粒度で十分です。

測る期間は「来店周期の2倍」で決める

再来店率を「何日以内」で測るかは、業態によって変えてください。基準はそのお店の想定来店周期の2倍です。

業態の例想定される来店周期測る期間の目安
ランチ中心のカフェ・定食屋週1回程度14日以内
ラーメン・そば・カレー2〜3週間に1回30〜45日以内
居酒屋・バー月1回程度60日以内
ディナー中心の専門店・記念日利用数ヶ月に1回90〜180日以内

周期の2倍まで待っても来なければ、その人は「まだ来ていない」ではなく「来ない」と判断していい、という考え方です。期間を長く取りすぎると、数字は良く見えますが手を打つのが遅れます。

POSがなくても測る3つの方法

① 正の字で数える

レジ横のメモに「新規」と「再訪」を分けて正の字を書くだけです。判別は感覚でかまいません。正確さより、毎日続くことのほうが大事です。

1ヶ月続ければ、翌月と比較できる数字になります。比較対象は他店ではなく、先月の自分の店です。

② クーポンやQRコードの読み取り回数を見る

レジでQRコードを読み取ってもらう仕組みを使っている場合、読み取りの回数がそのまま来店の記録になります。数えなくても自動で残ります。

会員登録を求めるアプリと違って、読み取るだけの仕組みならお客様側の負担がありません。導入のハードルが低い分、記録として続きます。

③ 予約台帳を見返す

予約が中心の店なら、台帳に同じ名前が何回出てくるかを数えるだけで平均来店回数が出ます。すでにあるデータなので、新しく何かを始める必要がありません。

数字が低いとき、どこを疑うか

再来店率が思ったより低く出たとき、原因は3つに切り分けられます。順番に確かめてください。上から2つは、店の問題ではありません。

疑い① 測る期間が短すぎる

居酒屋で「30日以内」を基準にすると、実際には2ヶ月おきに来ている常連が全員カウントから漏れます。まず期間が業態と合っているかを見てください。

疑い② 新規が増えている

②の計算式は、分母が今月の新規客です。新規が急に増えた月は、再来店率が必ず下がります。これは悪い数字ではありません。

新規数と再来店率は、必ずセットで記録してください。片方だけ見ると判断を間違えます。

疑い③ 2回目が来ていない

期間も新規数も問題ないのに低いなら、これが本当の原因です。1回目と2回目のあいだで離脱が起きています。

ここで参考になるのが、初回利用の満足度と再来店意向の関係を調べた調査です。事前の期待を超えて満足した人の再来店意向が37.5%だったのに対し、期待ほどではなかった人は12.9%、期待を大きく下回った人は10.6%でした。

差は約3倍です。「悪くなかった」では次がないということを、この数字は示しています。逆に言えば、初回で1つだけ期待を超えるものがあれば数字は動きます。

出典:リクルート「初めて利用する飲食店への期待と満足度・リピート意向」(2024年2〜4月・首都圏/関西圏/東海圏)

具体的に何をすれば2回目につながるかは、リピーターを増やす方法で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 結局、リピート率は何%あればいいですか

目標にすべき絶対値はありません。先月より上がっているかどうかだけを見てください。同じ計算方法・同じ期間で並べれば、それが自店にとって唯一意味のある比較になります。

Q. お客様の顔を覚えられません

全員を覚える必要はありません。②の指標なら、対象は今月の新規だけです。3組覚えられれば3組分の記録になります。

Q. 記録はどのくらい続ければ判断できますか

最低3ヶ月です。月ごとの数字は天候や曜日の並びで揺れるので、1ヶ月では判断できません。3点並べて初めて傾向が見えます。

Q. 新規とリピーターのどちらを優先すべきですか

再来店率が測れていない段階では、リピーター側です。新規を増やしても2回目が来なければ、増やした分がそのまま抜けていきます。

Q. リピート率が上がると売上はどれくらい変わりますか

来店1回あたりの単価が同じなら、来店回数の増加分がそのまま売上に乗ります。詳しくは客単価の平均の記事で計算方法を説明しています。

まとめ

飲食店のリピート率に、比較できる業界平均はありません。探しても見つからないのは、あなたの探し方が悪いからではなく、存在しないからです。

個人店が追うべきなのは、今月の新規客がその後もう一度来たかという新規客の再来店率です。測る期間は来店周期の2倍。記録はレジ横のメモで足ります。

そして数字が低かったときは、期間 → 新規数 → 2回目の離脱の順に疑ってください。最初の2つは店の問題ではありません。

比べる相手は他店ではなく、先月の自分の店です。

EASY COUPONは、レジ横のQRコードを読み取ってもらう仕組みなので、読み取り回数がそのまま来店の記録として残ります。会員登録を求めないため、記録のためにお客様の手間を増やすことがありません。

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